アレを断ち睡眠の質をあげる

前回に引き続き【書籍・SLEEP】から『第4章/カフェインの門限は午後2時』へ進みます。

カフェインは睡眠を阻害する

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生活インフラの位置づけ、コンビニでは今日もコーヒーマシンが稼働中。朝や昼の時間帯によく目にする光景がある。店内で抽出中のコーヒーを待つサラリーマンや片手に赤色のカップを握りしめ颯爽と歩く男性の姿。僕を含む日本人のみならず世界にはコーヒーを好む人が多い。老舗や新興の洋菓子やコンビニスイーツに親和性の高いコーヒーですが、摂取する時間帯には注意が必要です。なぜなら、カフェインが含有されているから。(カフェインレスは除く)甘い菓子系統に好相性だからといって夕食後のスイーツにコーヒーを飲んでしまうと夜の睡眠に不都合な結果をもたらす。

学術誌『ジャーナル・オブ・クリニカル・スリープ・メディスン』の筆頭著者、クリストファー・ドレイク博士は次のように述べる。

仕事を終えた帰り道にマグカップ1杯のコーヒーを飲むと、睡眠に悪影響が生まれ、その影響力は寝る前にカフェインを摂取する場合と同等と思われる」

彼らは実験で、複数の被験者に異なるタイミング(寝る間際、寝る3時間前、寝る6時間前)でカフェインを摂取させた。すると、全員の睡眠が大幅に阻害されたことがはっきりと数値に表れたという。

つまり、寝る直前はおろか、寝る6時間前でもカフェインを含む飲料系を摂取すると睡眠が阻害されるのだ。この実験の測定の仕方には、被験者が睡眠中に取り付ける測定器による客観的なデータと被験者が睡眠の日記をつける主観的なデータを2つ用意した。驚いたことに、カフェインを摂取した被験者は、測定器によると睡眠が1時間短くなったものの、睡眠に違いを感じたと日記に記録する被験者はひとりもいなかった。物理的に短くなった睡眠の事実に気づかず、レム睡眠と深い睡眠を繰り返す通常の睡眠サイクルに入っていなかった。疲れた身体に元気を取り戻そうとカフェインに手を伸ばし、頭が冴えたような感覚を得られても元気が無くなれば、またカフェインに手が伸びる。続いて、カフェインと構造が似ているアデノシンを交えて話を進める。

アデノシンの邪魔をしない

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コーヒーが総じて甘いものに相性が良いことは伝えた。チョコ、クッキー、ケーキなど名前を上げたらきりがないほどコーヒーが最適な飲み物だ。しかし、カフェインはエネルギーにはならない。

目覚めているとき、脳細胞は活発に動いている。その結果、アデノシンという副産物が生まれる。アデノシンとその受容体が一定のレベルを超えると、身体はリラックス状態を迎える。そこへカフェインがやってくると覚醒状態へ無理に身体を起こそうと躍起になる。

勉強机でうとうとしているときに塾講師や先生に起こされた経験はないだろうか。寝たい自分を無理に叩き起こす存在、それがカフェインの怖い特徴だ。寝ずに起きていられる時間を伸ばせるのは最高だと言う台詞は完全にナンセンスとなる。

コーヒーで眠気はとばすな

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目覚めている状態が続けばアデノシンがどんどん生成される。しかし、カフェインがいる限り、アデノシンは正常に代謝できない。そうなると、体内の働きを変えようと神経系内でストレスホルモンが増大する。眠りたい身体に休息の指示ではなく、覚醒や注意力の指示を送り、働き過ぎを生んでしまう。カフェインの影響力は長く続き、完全になくなるまで時間がかかる。

人体でのカフェインの半減期は5-8時間だと言われている(個人の体質による)。「半減期」とは基本的に、一定時間(例:8時間)が過ぎた後でもまだその半分の量が体内で活動しているという意味だ。たとえば、体内におけるカフェインの半減期が8時間だとしよう。その場合、200mgのカフェイン(普通のコーヒー1, 2杯分に相当)を摂取したら、8時間後もその半分(100mg)は体内に影響を及ぼすことになる。さらに8時間後でも50mg、さらに8時間後でも25mgが体内で作用する。

神経系のみならず内分泌系にも影響を与え、アドレナリンやコルチゾールを分泌させる。戦いの場や難を乗り越えるためにアドレナリンを分泌させ対峙してきた人類の進化ではあるが、現代では精神的ストレスや感情的ストレスが生じたときにカフェインとの相互作用による副作用が体内で発生しているのではないかと危惧する。

カフェイン依存から抜け出す

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カフェインを摂取すると血液に流れ出す。血液に流れるカフェインだが、血液の成分を変える役割は腎臓が担う。腎機能は、絶えず塩分や水分を体外へ排出する。コーヒー断ちの意思決定をし、体内からカフェインを断つ。普段から頻繁にコーヒーを飲んでいる人は、カフェイン断ち始めはしんどくなったり、コーヒーを飲みたくなることがある。しかし、カフェインが抜けた状態を目指して水やカフェインレスのお茶に切り替えよう。どうしても飲みたくなる場合は、カフェインレスコーヒーを朝1杯に限定しよう。

カフェイン摂取は午後2時まで

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カフェインは悪い側面だけではない。適切に摂取すれば、新陳代謝、注意力、集中力の向上や肝機能の改善に活用できる。しかし、たくさんのコーヒーを飲んでいればカフェインの作用から免れることはできない。カフェイン耐性など個人差があり、どれくらいの量が適正量なのかわからず不安にもなる。厚生労働省のサイトには一日あたりのカフェイン量の目安やWHOの情報もあり、ご自身の適量が見つけられるかもしれない。

食品に含まれるカフェインの過剰摂取についてQ&A ~カフェインの過剰摂取に注意しましょう~

睡眠の質をあげることを目標にすれば、どうしてもカフェインは良くない化学物質と言わざるをえない。なかなかカフェイン断ちを即座に始めるのは難しい。だからこそ最初は、いつも飲んでいるコーヒーの量を減らす目的で飲むペースを緩めるなど工夫ができる。コーヒーなどの総量を減らしながら徐々にカフェイン摂取を減らしていきカフェイン断ちに成功できれば、飲みたくなる欲求さえなくなる。最適なリズムで摂取するためにカフェインのスケジュール管理をすることも一案だ。月火を摂取、水〜金は控えるなど。2ヶ月摂取、1ヶ月控えるようにトレーニング形式で導入することも望ましい。また、発表会やプレゼン、大きなプロジェクトなど必要なときに限定して飲むとカフェインが起爆剤となって味方につけられる。

最後に

コーヒー好きにはカフェインは付き物であると考えていた。仕方のない存在と位置づけ、上手く付き合っていこうと勘違いしていた。だが、睡眠の質をあげることを念頭に置いた今、カフェインを片やコーヒーの付随物のみであると野放しにはできない。自分の夜のパフォーマンス(睡眠力)を上げるには時間帯と含有量が左右する。カフェイン半減期と含有量を目で吟味する決断に至った。コーヒー断ちから早15日が経過した。目覚めているだけで元気になることができ、脳も活発に活動を続けている実感がある。ひいてはコーヒーを飲みたいという欲求が消えつつある。朝、ドリップバッグが目の前にあっても湯を沸かさず、水を飲んでいる。逆に今は「飲むシリカ」が飲んでみたい。それくらいコーヒーへの向き合い方が良くなった。書籍「sleep」が睡眠の質をあげる解答を提示し、忠実に従った結果、コーヒーへの考え方が進化するものとなった。皆さんもカフェインの望ましい側面を受け取ることができ、快適な睡眠のヒントをここで僕がお伝えできていれば嬉しい限りだ。

睡眠記事

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参考書籍