前回に引き続き【書籍・SLEEP】から『第2章/睡眠ホルモンを自らつくりだす』を紹介します。
24時間周期の体内時計を上手く活用
(ダイヤモンド社/ショーン·スティーブンソン著/本書P34より一部抜粋)
私たちの身体には、24時間周期の体内時計がある。その体内時計は、脳の視床下部にある「視交叉上核」と呼ばれる神経細胞で管理され、空腹や喉の渇き、睡眠サイクル等を調節している。つまり、頭に意識を向ければ睡眠を改善させられることになる。ではどうすれば体内時計の力を借りることができるのか。誰の手も借りず、ご自身の日中の活動にひと手間加えるだけで体内時計を駆使することができることを以下で説明する。
睡眠の準備は目覚めから始まる
12月の寒い冬なかなか布団から起き上がることができない。太陽光が室内に木漏れ日を差すのも夏に比べればかなり遅い。しかし、睡眠サイクルの調整を行う体内時計の利用には起床後が鍵になるので眠い目をこすってベッドから出ましょう。どうしても起き上がれない方は、起きてからすぐに始められる簡単な習慣を作ることがオススメ。僕だと起床後、瞑想を20分間します。
朝起きて1番良い習慣は、太陽光を浴びること。この行為が体内時計の再生を促し、夜に向けた準備になります。太陽光が持つ力は、日中に分泌されるべきホルモンや体内時計を調節する神経伝達物質の生成を促す力になります。
睡眠に役立つホルモンの数々
続いては3つのホルモンの役割をみていきましょう。まずはセロトニンから。
セロトニンの約95%は、体内の消化管に存在します。自然に生成されることはなく、何を食べ、どの程度身体を動かし、自然光をどのくらい浴びるかで変わる。つまり、太陽光を浴びなければセロトニンの生成量が減り、健康に悪影響が及ぶことになってしまう。日中にオフィスで働く人の睡眠の質を調査した研究を以下で引用。
職場に窓がある環境で働く人に比べて、職場に窓がない環境の人が浴びる自然光の量は173%少なく、一日あたりの睡眠時間も平均46分短かった。
対してオフィスにいながらも太陽光を多く浴びる人は総じて幸福感が高く生活の質が高くなる。
以上のことからセロトニンが睡眠ホルモンと呼ばれる所以でもある。次はメラトニン。
メラトニンは外が暗くなるにつれて自然に分泌が始まるが、日中に太陽光を浴びていることが欠かせない。メラトニンの生成と分泌は、光を浴びた量に左右される。日中に十分な光を浴び生成を促し、夜に浴びる光の量を減らせば熟睡を確実にするメラトニンの分泌が待っている。最後はコルチゾール。
コルチゾールの力は、精神力、集中力、やる気をもたらし、眠りから目を覚まさせてくれる非常に役立つホルモンだ。つまり、朝になると体内で自然にコルチゾールの分泌が始まる。鶏の鳴き声のように朝を迎える信号を送る。睡眠サイクルに欠かせない存在である。
(ダイヤモンド社/ショーン·スティーブンソン著/本書P41より一部抜粋)
引用写真では朝に最大分泌されたコルチゾールは夜を迎えるとともに最小まで低下する。
以上3つの正常なホルモン分泌が熟睡への道となるが具体的に日中、何をすれば良いのかを以下にまとめる。
午前6時から午前8時30分の太陽光
睡眠にとって外せない太陽光がこの2時間半の間。体内時計がもっとも敏感に反応する時間帯。時期によって時間帯は前後左右するが今から習慣を身につければ質の高い睡眠は手に入れられる。少なくとも30分、屋外で日光を直接浴びることが望ましい。防寒着を着ても目から自然光を取り込めるので問題ない。曇り空でも紫外線は体内に届く。
目覚めからすぐに太陽光を浴びることができなければ別の方法がある。昼間の休憩時間に10~15分間、屋外に出るか窓のそばに移動する。テラスや屋上など外で食事を取ることも身体が喜ぶ。
紫外線Aには皮膚ガンや肌の老化を招くリスクもはらんでいるため光の浴びすぎには注意が必要だ。そしてビタミンDを生成する紫外線Bの取り込みが貴重で、A,Bの両者を上手く体内に注ぐには屋外での日光浴がベストと言える。
日光浴の際、サングラスで紫外線対策をする方には細心の注意をしてほしい。サングラスでホルモン分泌や睡眠に必要な太陽光が遮られる以上に危険なことだ。紫外線対策がきちんとされていないサングラスで人工的に目を暗闇で覆うと、瞳孔がいつも以上に開き、身体に害をなす恐れのある紫外線を取り込むことになる。今のシーズン特に言えるウィンタースポーツも雪山ではサングラスを着用する人が多い。自分のサングラスは紫外線対策がしっかりとされているものかどうかの確認をお忘れなく。
最後に
ショーン·スティーブンソン著「sleep」の第2章についてお伝えしました。睡眠は今や子どもから大人まで全世代が抱える社会問題と言えるのでないでしょうか。睡眠アプリの使用やアップルウォッチなどの端末で睡眠の記録を可視化している世の中です。中々ご自身の体内を深く見ることは難しいですが、本書から価値ある正常なリズムを構築する情報を得られるのではないかと思います。寝付きから寝起きまでを最高に迎えるための道標をお伝えできていたら幸いです。