たった一晩だけ明け渡した自室
今年の夏、授乳する姉にサポートをする母、私、そして父。
臨戦態勢のマインドで今朝からバチバチに気合入りする両親を横目に授乳する姉。
気付けば、姉は一日のほとんどを授乳に費やし、自身の張り裂けそうな胸の痛みに悶えていた。
その日、義理の兄が実家へ来るスケジュールとなっていた。
蝉の鳴き声にうなされるはずなのに甥っ子は一向に起きる気配すらない。
調べてみると新生児は1日のほとんどを睡眠が占めるらしい。
どうりで目も開けないわけだ。
ただその一分一秒の攻防が何とも可愛くて仕方なかった。
夜になり問題が発生した。
寝室は自室である。
姉の部屋だけ「エアコン」がない。
現代では必需品だ。
いわずもがな自室を姉夫婦が利用した。
夫・妻・息子
睡眠に必要な快適さを求めて、涼を手に入れた自室で繰り広げられる2時間おきの授乳タイム
これは何を意味するのか。
そう、、、ミルク臭が解き放たれる。
昨夜手放した自室がものの数時間で異空間となった。
「俺は森の中へと彷徨ったのか」
「それとも小学生へと過去へタイムスリップしたのか」
扉を開けた途端に放たれるカブトムシの蜜の匂い
本能で瞬時に窓全開に換気した。
「カブトムシよ来るな」
その匂いは授乳の試行錯誤を暗示したのか、ただ母乳の持つ過大な香りが露呈したのかは今となっては定かではない。
「すごいニオイ」#ジェットウォッシャー「ドルツ」