苦い試験の記憶が今もなお残っている

あの日は、たしか2012年11月の近畿大学推薦入試。

制服に身をまとい京阪電鉄の特急に乗った私は車内でいつも以上にそわそわしていた。

試験会場の最寄り「福島駅」で下車し、上空を見上げると高架が建物を突き刺すビルに吸い込まれるように学生服の受験生が入っていく動線に続いた。

入学希望学部に応じて隔たれた会場が用意され、手元の受験番号を頼りに教室を探す。

席に腰を下ろし辺りを見回すと100人規模の受験生が視界に入る。教室中央の通路左側席に筆記用具を置いて準備を行うが気持ちが昂る。

試験監督の合図とともに学生の鉛筆が走り出し近畿大学生を手中に収める戦いが始まると同時に私はパニックに襲われる。

「怖い、熱い、汗、汗、汗。何これ、怖い、無理、この場から立ち去りたい」

気づけば左手を上にあげていた。

すると係員が近づき事情を聞いてきた。

このとき言葉で説明できたかわからない。

でも伝えた内容のニュアンスは覚えている。

「もう試験受けられません。出て行ってもいいですか」

この発言を汲んでくれたのか「ちょっと待ってもらってもいいかな」と急ぎ足でどこかへ向かった。

試験監督などの計らいから別会場での受験が認められた。

下層階に移動し途中から落ち着いて試験を再開することができた。

真摯に対応してもらった係員には感謝でいっぱいです。

 

今週のお題「試験の思い出」