リーアム・ニーソンが演じる復讐劇に興奮
リーアム・ニーソンが演じる洋画のファンになって、かれこれ何年になるかは作品を見返せば思い出される。
初めて彼の登場を知った作品が『96時間』だった。
アクション映画は、元より大好きで特に闇や悪などの犯罪が絡むとより一層興味が湧き感情を揺さぶってくる。
それに打って付けの洋画がリーアム・ニーソンが主演の作品群だということだ。
≫あらすじ
模範市民賞を受賞するほど静かで真面目な男を演じるリーアムだが息子の麻薬中毒死をきっかけに復讐劇に繰り出し各方面から情報を探り、着々と敵の陣地へと足を進める。情報を聞き出した下っ端の命すら消し去ってもなお怨恨の念は消えることがない。果たして、リーアムの結末はいかに。
≫感想
息子の死を起点に夫婦関係に亀裂ができてしまい最終的には妻が家を出るシーンには両者の意見の正反対性がにじみ出ていた。
リーアムは息子を死に陥れた組織を壊滅させる為に悪党の命を奪うべく自らの手を汚す手段に出る。
それを傍観するが堪忍袋の尾が切れたのか、妻は何も残さずに大雪の町から姿を消した意味とは、[もう一生この町には戻ってこないこと]を暗示していると推察する。
悪党には呼び名があり彼らを探し出すたびに殺めることを任務化したリーアムの姿には強い意志が存在する。
同情心が湧くが仕返しは、現実では確実に許されないとは知っていても彼の心に加担している犬飼。
腹の虫がおさまらない感情を真正面から復讐に転換させるリーアムだが黒幕の息子を誘拐するも、その息子の眼前では仕返しを実行しない彼の表情から葛藤が垣間見えた。
平穏に暮らす中で起きた悪夢をリーアムは彼らと同じ犯罪で敵討ちする連鎖で、誰も止めることが出来るはずもないのだ。
公開前から鑑賞を待ち望んでいた『スノー・ロワイヤル』でしたが『96時間』と比べると、より最新作の方が冷静に復讐を果たしていた感がある。
酷さ度合いが今作は控えめであった感覚を覚えた。
期待を超越しないのは、犬飼がリーアムに対して復讐は猟奇的であることを望んでいたのかもしれない。理性を失った、思考回路が壊れた、もしくはサイコパス的な。
『スノー・ロワイヤル』でのリーアムの復讐の過程は情報を詮索しながらアジトへと赴き、客と偽って目的を果たすまでは理知的で聡明さを味わえたのだが、命を奪うことにまで冷静さを保持していたのはどこか計画の内にあったのを連想させる。
もしかするとリーアムのリアルの年齢に関係があるのか。
≫余談
公開日初回上映時間から、殺伐とした空気感で始まる『スノー・ロワイヤル』
上映室内を見渡す限り20名弱の鑑賞者が集結していた。
中には年配の女性が一人で鑑賞に来られていたので、最初は「『アラジン』と上映室を間違っているのではないか」とまで疑った。
もしくは「犬飼が『アラジン』の上映を待つ人々の輪に入ってしまったのか」と思うまでに緊張感が高ぶった。
始まってみればスクリーン一面に銀世界が映り出したことで、彼女もリーアムファンの一人であるという事実が鮮明となった。