【『万引き家族』を映画館で鑑賞した話】(ネタバレ注意!!)

読者の皆さん、こんにちは。

 

本当に映画鑑賞は久しぶりも久しぶりで、かつ今回は初一人映画だったのでさらなる不安感が募った一日となりました。

 

6年前とは完全に変革を遂げた私なので(感性が研ぎ澄まされている?)非常に感情に揺さぶられました。

 

ということで本題へ

 

 

【『万引き家族』鑑賞した話】

gaga.ne.jp

 

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◆感想

【必読】私が文字を並べてネタバレが起きることが正しいとは思わないのですが断片的にシーンを回想しようと考えているので、もしまだご覧になっていない方は映画を鑑賞いただいてからブログを見ていただけると幸いです。

 

映画館では涙を流していませんが今再び映画に思いを巡らせると感動します。何度でも泣けるのは断片的に万引き家族の過去が露呈するので糸が最終的に線になるからです。

 

拝見している間も緊張の糸が消えることがなく、一言半句で意味が広がったり過去が蘇ったりするので目と耳が離せません。

 

「家族ってこうなんだ」

 

家族の本質とはこうなんだ。

 

血の繋がりが全てではない。

 

血が繋がっていなくても家族になれる。

 

家族でキャラクター分けがされている。

 

通常なら大黒柱を意味する父親の治が子ども以上にはっちゃけていることで家族内で誰とでも対等さを表現している。

 

妻の信代はそんな治より精神的に大人でいること、社会的性差による立場の優劣が全く感じられないため夫婦関係が良好である事を提示する。

 

息子の祥太が一番に頭脳明晰で学習能力が高く兄妹間では頼り甲斐のある兄貴で家族間では家庭を回す中心的存在。

 

祥太の妹として迎え入れた小さな女の子のゆり。彼女は両親から虐待を受ける最中に万引き家族のもとで愛情を受ける。

 

治の母である初枝は常に朗らかで誰をも包み込む温かさと周りを見渡す視野の広さを兼ねている。

 

そんな祖母に信頼を置く信代の妹にあたる亜紀は落ち着き払った年代の女の子であり清潔さを兼ねている。

 

そんな家族を側から見れば通常の「普遍家族」「一家族」として位置付けられるであろうが中身は本来さを欠いている。

 

どこか似ている性格的要素、外見的要素があるはずなのに皆無と言える。

 

そう、この家族は心で繋がっている、条件付きで。

 

家族を細分化すれば個々にいき、過去にメスを入れれば「万引き家族」の形成が理解される。

 

ここまで笑顔に溢れる家族の姿を見ることは現実世界では簡単に暴かれることはない。

 

しかし「万引き家族」にはその実態がある。

 

家では笑いが絶えない、家を出れば引き緊まる表情。

 

そんな二面性から家族に潜む闇が想像される。

 

 

◆心打たれたシーン

是枝裕和監督がこの映画を製作するにあたり「何」を世界に伝えようとしたのか私は考えようと思う。

 

しかし表現するのは各俳優さん達であるので一人一人を注視しながら鑑賞に励んでいたがとても一回では発見には時間が足りない。

 

とはいえ心打たれるシーンは記憶として心と脳に残る。

 

それは2シーンあった。

 

1つ目

浴室内のシーンで信代とゆりが交わす内容である。

 

そこで信代とゆりに共通の傷跡が腕にあること。

 

信代がアイロンで火傷を負ったこと、一方でゆりは虐待で火傷を受けたこと。

 

そこで私が思ったことは信代も過去に虐待でその傷を受けたのだと。

 

つまり幼少期に母親からの愛情を受けず大人になった今、ゆりを過去の自分に投影しているのではないかと。

 

 

2つ目

家族全員が揃う縁側で信代とゆりのシーンにて

 

本物の両親から着せられる服を燃やし、万引き家族から与えられた服に身を纏うゆりを見ながら愛情を注ぐ信代にはジーンときた。

 

愛情に渇望した信代がゆりにそれを心で体で全部でゆりに十分に表現するシーンは感動を呼ぶ。

 

あのハグの強さ、涙、安堵した表情にはたくさんの感情が隠れていたのかもしれない。

 

虐待からの解放感、肌と肌で温もりを感じる安心感、今現実にある幸福感。

 

信代に複合的情動が瞬時に湧き起こったと捉えた。

 

 

◆「万引き家族」からのメッセージとは

家族には誰も予期しない「闇」が隠れている。

しかしそれを簡単に「悪」とは言えない。

「明るい闇」も存在する。

全てが真っ暗で闇が数多く存在し法律的にはアウトだが精一杯生きている。

正しい、間違っている、良い、悪いなどの判断を下すことは誰にもできない。

しかし法治国家の日本には善悪が規定されている。

世の中理不尽である。

理不尽に抗う力をどうつければいいのか。

暴力で対抗するのはダメ、折衝に持ち込もうにも経済面にぶつかる。

本当に訴える場がない。

悪知恵も技術の一つなのか。

道理に外れることもある。

明日を生きるためにリスクを負いながら一日を過ごす。

いつかは露呈してしまう。

それを社会は「間違っている」と簡単に正義を振りかざす。

心ではわかっている。

でもどうしようもない。

見過ごせない命がいる。

「法律は人を守れない」

 

これが私の答えになりました。

 

 

矛盾点や理解されない点だらけかと思いますが思い出たことを書きました。

 

 

◆最後に

映画公開から1ヶ月以上経ての鑑賞でした。

 

本当に行ってよかったと改めて感じます。

 

記事を書き続けること、感じ方を深くするため、言葉をたくさん知るためにも映画を見続けないといけない。

 

人によって感想も様々だと思うので、ぜひコメントで皆さんの感想をお聞かせください。

 

 

では、