クリスマスイブは明石家サンタからの電話はなかった。
番組を視聴するつもりでいたのに、爆睡の一途。
もっと内容のある不幸話を2019年は用意しよう。
INUKAI BLOGは最近「死」に関する内容の書籍をよく音読する。
たった2冊だが。
一冊目はこちら
二冊目はこちら
「DEATH」はまだ中腹までしか読み進めていないので、読み終えた「平成くん、さようなら」の感想を述べる。
テレビでよく古市憲寿さんを拝見しますが、なぜか毒付いた発言が大好き。
後ろめたさが皆無で、どストレートに直球を投げ込んでいく姿。
何をどう学べば彼の考え方に行き着くのか、脳内に侵入してみたい。
世界がどう見えているのだろうか。
「平成くん、さようなら」古市憲寿 2018 文藝春秋
★人生の終止符を選択
大好きな人から「安楽死」をすると告げられる。
誰しもその意見を尊重すらできないかもしれない。
まずは必死に止めようとするだろうし、なぜ?が頭から入らないし、ましてや怒り狂うか、泣き潰れるかもしれない。
人生に自分でピリオドを打つ瞬間が来る事は誰しも考えないと思っているがそうとも限らない。
病気や不慮の事故で突然命を奪われることはあるが、いたって健康で不自由のない生活において「死」を考えることはまずない。
「死ぬ権利」をよくよく考えさせられた。
これまで以上を未来に求める、現状を超越する世界へ名を残すのに暗い遺伝的要素や老化を考慮して、遠く及ばない未来の現実が見えると人は絶望を覚え、今に生きれないのかもしれない。
★自分という名の結晶
「自分の人生」とは言っても、他者と交わってきた自分の中には一部とはいえ誰かがいる。自分という人間に変わりはないが、数々の身体・思考接触によって新しい側面を吸収してきた。
私の場合は、本に出会いあらゆる作者との対話をした。
今の自分という人間が形成され、さらにこれからも掛け算で人生が展開されていく。
ふとした時に「自分とは何か」を知ろうと思えば、自分に存在する他人の一部を取り出した欠片から探れる。
つまりは繋がりある人から聞いて自分を再認識できる。
人ではなくても積み上げてきた書籍からでも探れる。
★感想
世界中にいるカップルを想像しても、この小説に登場する二人の形は皆目不思議ではない。
傍目では普遍的なカップルではあるが殻を破れば実情は違うのかもしれない。
恋愛関係にあるが束縛することはなく互いに自由で、尊重し合う出来事も多々ある。
同棲を続けていく中で「安楽死」という行為を持って、物語が展開していく。
「死」を選択する彼、それを必死に止める彼女。
どちら側に立つかで見方は変わるかもしれない。
私は確実に彼女側で、どうすれば翻意を示してくれるだろうかと期待した。
「死ぬ選択」をしなくても幸せにはなれる、と無責任に発言してしまうかもしれないが、それ以上に彼の決心を変える最適な言葉は見つからない。
究極の選択に導かれた意図も気付かなければ「生きる」という方向性へ転回させるのは難しい。
とは言っても選択は本人に任される。
他人の願望が必ずしも通るわけではない。
説得はできても選択はできない。
読み進めていくと死へのタイムリミットは感じながらも、二人の恋仲が深く突き刺さるようだった。
「ミライ」という猫の死を巡って関係性に溝が生まれたが、彼の最期はまさに猫のようでもある。
短絡的だけど論理的で理知的な彼の言動に欠陥を探そうとして必死になる愛の姿には彼に対する愛を感じる。
一番感動的だったのは最後の10ページ。
愛ちゃんから愛に呼び名が変わる。
その瞬間に現実となったと感じた。
しかし未だ信じられない感覚もある。
こんな読者に読んでほしい
「死生観に触れてみようと考えている方」
「古市さんが好きな方」
「カップル」
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