イギリス産スティルトンからナチュラルチーズの本質を見抜く方法

チーズ愛好家の皆さん、こんにちは。

先日は、デンマーク産ブルチーズから「ダナブルー」を主要テーマにお送りしました。

本日は、またまたブルチーズからイギリス産「ブルー・スティルトンです!

新型コロナウイルス禍がなかなか収まらず変異株による新規感染者の増加が脅威をもたらす中で、私たちができることは感染症対策の徹底に加え健康的な生活の維持になります。

そこで健康的な生活のアプローチとして私たちの普段の食事面から「おやつ」の見直しに取り組みませんか?

高カカオチョコレートやナッツ、またオーツなど軽食の役割を果たすおやつですが、味も健康も欲張りたい皆さんに美味しい乳製品はナチュラルチーズからブルー・スティルトンを解説します。

イギリス産ブルーチーズ「ブルー・スティルトン」を知る

世界三大ブルーチーズのひとつイギリス産は「ブルー・スティルトン」引用先:キリン

スティルトンとは、ロンドンの北にある町の名前で、この町のベル・インという旅館でダニエル・デフォーという人物がこのチーズのおいしさを本で紹介したことをきっかけに知られるようになり有名になったようです。

彼の著作、"Tour through the villages of England & Wales"のなかで、「English Parmesan(イギリスのパルメザンチーズ)」と紹介されています。

地元イギリスではクリスマスプレゼントとして陶器などのチーズポットに入ったブルー・スティルトンを贈る習慣があるそうで、日本でもそういった商品が流通してほしいものです。

「チーズポット ブルー・スティルトン」と検索してもポット入りチーズはなかなか浮上しないですが、日本でイギリスのクリスマス文化を本格的に継承するなら品質認証マークが入ったブルー・スティルトンを別途購入したポットに入れて贈るといった工夫が必要ですね。

さて、次は世界のチーズ図鑑を参考にデータを見ていきましょう!

種類青カビ
産地イギリス・レスターシャー州など
P.D.O年1996年
原料乳
熟成期間最低8週間
固形分中乳脂肪量最低48%
ブルー・スティルトンのデータ

データからP.D.Oに関して引っ張り出して説明します。

フランス語ではA.O.P.、スペインやイタリアはD.O.P.と表記されています。

承認条件が最も厳しいカテゴリーで、名称に謳われた地域で伝統的に決められた製法でつくられ、その製品がその土地の気候風土を反映した風味や品質でなくてはなりません。

世界チーズ商会株式会社

上記に挙げたレスターシャー州以外には、「ダービーシャー州」「ノッティンガムシャー州」で作られています。また、製造は許可された数社のみで2015年現在では6社が手がけています。

P.D.O(原産地名称保護)

左の品質認証マークの説明は上記の通りで、全ての条件を満たしたナチュラルチーズだけが赤と黄色で彩られた輪郭がギザギザ模様のマークがパッケージに付加されます。

その製品が原産地のオリジナリティなど唯一無二の味わいや風味を保証した証拠となっています。

P.D.O以外にも品質認証マークは他にも数種類あるのでロゴを覚えておくと買うときの参考になって便利です。

スティルトン」の香りと味わい

ダイエーで売られていた東京デーリーが製造した「スティルトン

こちらのブルーチーズは上記で説明した品質認証マークのないスティルトンです。

パッケージ正面にもブルーという最初の呼び名はなく単純に「スティルトン」と書いてありますがイギリス国旗が確認できることを考えれば、東京デーリーがブルー・スティルトンを真似て製造したということでしょう。

つまり、品質認証マークがいかに本格的で原産地保護を謳う本物の製品であるか、ということが理解されます。

いくら海外から取り寄せたミルクを用いて日本でブルー・スティルトンを製造しようとも品質認証マークは得られないことを意味しており、本物のブルー・スティルトンを手にするには直輸入か現地まで行く必要性がありそうです。

ということで日本企業が製造したスティルトンの味わいと風味を記憶の限りお届けします。

イギリス産「スティルトンチーズ」は品質認証マーク無し

特徴的なのは、世界三大ブルーチーズのなかでもっとも刺激が薄いチーズということです。

「イタリア産ゴルゴンゾーラ」や「フランス産ロックフォール」はどちらも風味と味わいが強烈で、舌のピリつき具合や鼻腔を刺激する臭いは半端ないのですが、スティルトンはその印象が本当にありませんでした。

人間は五感の中でも視覚が感覚器官の中で物事を判別する役割をもっとも担いますが、対象をブルーチーズに向けた場合にはそれが矛盾してしまいます。

なぜなら、ブルーチーズの特質は青カビから放たれる独特の臭いであり、視覚よりも嗅覚に訴える情報が上回るからです。

青カビの繁殖率や味わいや風味などの色んなデータが逆転しているのにも関わらず、もっとも刺激が薄いブルーチーズと表現してしまう要因はブルーチーズイコール嗅覚に訴える乳製品という先入観から来ています。

しかし、スティルトン濃厚なミルクの味わいや風味、そして口どけが柔らかくブルーチーズの概念から逸脱しています。

目を閉じて食べればブルーチーズ感がなくなるのではないでしょうか。

そして筆者の見解はこうです。

スティルトンの味わいと風味

塩味加減や青カビの香り、そしてミルクの味わいからオリジナルチャートを作成したものになります。

ブルーチーズの王道の味わいが苦手な人向けのブルーチーズと言え、ミルクの甘みを感じれて飽きることなく食べ続けられます。

参考書には青カビ特有の香りやピリッとした刺激と書かれているのは、本場のブルー・スティルトンの紹介なので、本場と日本で製造されるものとでは差が生まれるわけですから、今回のスティルトンに関しては王道のブルーチーズの特質は皆無です。

ナチュラルチーズの本性を見破る方法

スティルトンとブルー・スティルトンはまったくの別物

スティルトンを「ブルー・スティルトン」と誤解していたことにすら気づきませんでした。

品質認証マークが「限られた製造者から生産されるブルー・スティルトン」を示しており認識違いを生まないように注意が必要です。

誤解を与えかねないので筆者なりに考えた表現として、ブルー・スティルトンスティルトンは「正規品」と「非正規品」と完全に分けて然るべき製品と言えます。

パッケージには「イギリス国旗」「Stiltonの文字」があり、イギリス産スティルトンチーズと書かれていれば誤解する人も出てくるはずです。

品質認証の知識がないだけで製品情報を鵜呑みにして誤認識のまま見過ごされていく懸念があります。

今後のチーズ食を楽しくリアルなものにしていくには「多少の知識」と「本質を見抜く力」が大事だと、スティルトンから学習することができたように感じます。

東京デーリーとしては日本にブルー・スティルトンが流通しない市場を調査し、自社で生産する運びとなった結果、スティルトンが生まれたと推察しますが本当のところは判断しかねます。

実際、味わいはおいしくて再度食べたいチーズです。

最後に

いかがでしたか、ブルー・スティルトンのご紹介は?

品質認証マークのあるブルー・スティルトンではなくスティルトンという名の日本企業が製造したチーズだったことに反省です。

しかし、味は本当に美味しかったですしナチュラルチーズに違いはないので健康増進には寄与します。

裏切られた感は多少ありますが、美味しくて刺激の弱いブルーチーズを食べたいときには最適です。

売られている製品のパッケージ表面と裏面は要チェックです!

それでは〜🧀