眠りはじめの90分が睡眠の質をあげる黄金タイム

「賢く眠れば人生の成功者」というコピーは睡眠の重要性を謳っている。筆者は、睡眠価値に気づくまで非常に時間がかかった。いや、むしろ、気づけて良かった。当時は夜中に平気でスマホを触りながらベッドに横になっていた。しかし、睡眠の質をあげるにはここを我慢しなければならない。全体的な睡眠の質をあげる方法は「眠りはじめの90分で睡眠の質が決まる」ことである。

西野精治著「スタンフォード式 最高の睡眠」から誰でも始められる睡眠の質をあげる方法を力説する。

眠りはじめの90分が貴重

とにかく睡眠の質をあげるなら「眠りはじめの90分」が大事。ここですべてが決まる。健康的な人は、入眠開始10分未満で眠る。もっとも質の良い睡眠は、はじまりの90分がもっとも深い状態に行き着くこと。ここが浅ければそれ以降のノンレム睡眠がさらに浅い状態になる。つまり、始まりの90分がもっとも深い状態をつくれるということ。1周期がマックスで2周期目以降は浅くなっていく。

はじまりの90分さえ深いノンレム睡眠であれば「睡眠の質は最高峰」と言える。だからこそ入眠前の行動次第で始まりの90分の質が深いか浅いかが変わる。

始まりの90分にはこんなメリットがある

  • 寝ているだけで「自律神経」が整う
  • グロースホルモン」が分泌する
  • 「脳のコンディション」が良くなる

上記3点が睡眠中に訪れるメリット群と言える。覚醒から睡眠へと移行する体内では交感神経から副交感神経へ自律神経の役割交代が行われる。ここがスムーズに進むと、脳も体もリラックスし、しっかりと休息することができる。自律神経は自分の意志で切り替えることができない内蔵型システムとなっている。状況に応じて自動的に交感神経か副交感神経のスイッチが入る。呼吸、体温、心臓や胃腸の働きなど、生命を維持するために欠かせない。自律神経が乱れると、イライラストレス肩こり疲労など問題をきたす。

また、グロースホルモンと呼ばれる成長ホルモンは子どもだけでなく大人にも欠かせない。細胞の成長新陳代謝促進皮膚の柔軟性アップアンチエイジングの役割も果たすと言われている。これらメリットを勝ち取る方法が睡眠にある。入眠後すぐの90分が勝負の世界。元気に過ごすために眠りだけは邪険に扱えない存在。前述の成長ホルモンだが、最初の90分を深く眠ればグロースホルモンの分泌が最大となる。

「金縛り」が頻繁に起きるスリーパーは正常な睡眠サイクルと言えない。ノンレムから始まるところが入眠時にいきなりレムが出現している。最初の深いノンレム睡眠が整えば、レム睡眠も整って睡眠が良好になる。忘れてはいけない睡眠のポイントは、「眠りはじめの90分」です。

黄金の90分をぐっすり眠る方法

睡眠は始めが肝心とはいえ、多くの人が寝つきの悪さに苦労している。毎日同じ時間に起床と就寝を固定化することが認知行動療法となりサーカディアンリズムに合っている。しかし、毎日を一定化できず不規則になることもある。そんなときに子どものように瞬時に眠れる、2つのスイッチを利用する。それが、「」と「体温」になる。

人間の深部体温は、日中の活動時に高まり睡眠中は下げて臓器や筋肉、脳を休ませる。一方で、手足の温度はそのまったく逆で、昼に低くて夜間高い。健康な人の場合は、この働きが機能するので「手足の温度」は睡眠の質を示す指標になってくれる。深部体温と手足や皮膚温度の差が縮まることでスムーズな睡眠に行き着ける。

テレビ視聴からスマホ操作へ小型化した映像サービスの浸透で昼夜問わずいつでもどこでも視聴が可能です。仕事や趣味の活動時間のために睡眠を減らして脳を興奮状態に支配している傾向があります。人間の脳は興奮に反応する生物である以上、夜は意識的に副交感神経を働かせる行動を念頭に置くことが大事。入眠時間に近づく前にスマホをベッド脇から別室や手の届かないところに追い払えば本来の眠る準備が始まります。そうすることで眠りはじめの90分が過去にない睡眠の質が得られます。

本書を通じて眠りを学習

眠り産業が昨今ビジネスを席巻しているのはスマホなどデジタルが子どもから大人まで世代を超えて浸透しているから。脳内を以上に興奮させる感覚器官は視覚情報だと筆者は捉えている。スマホを開けば、YouTube, TikTok, Instagramと拡散力が強く脳内に強いインパクトを与えます。以前は企業が打ち出す広告が主流でしたが、今はもっぱら個人ユーザーが大多数を魅了します。現代にバズる波を起こすインフルエンサーが誰でもなれる今、スマホが手放せない時間が確実にある。

日が高い時間帯に短時間集中で生産性が高いスマホ操作時間を導き出して睡眠の質を下げないことが先決。

日の出から日の入りまでの10時間のうちにガッと集中して1日を終えたい。