アレを食べて睡眠の質をあげる

腸内環境が脳をクリエイトする

f:id:inuwanhime:20201212145818j:plain

Photo by Dan Gold on Unsplash

腸が『第二の脳』と呼ばれる所以はなぜか。なぜなら、日々摂取する食べ物が情報だからだ。何かを食べれば自動的に体内で処理され、食べたものにはどんな栄養素が含まれているのか、いないのかがわかる。その結果、身体、健康、睡眠の状態が決まる。多様な栄養素を豊富に含む食事が睡眠の質や仕事のパフォーマンス向上、さらにメンタルの安定をつくる。つまり、脳と身体をきれいにする。アスリートの日課を考えれば、意識して食事管理を徹底していることが想像できる。専属の管理栄養士がアスリートのもとへ派遣され食事内容の管理や口頭アドバイスでレクチャーする例は皆さんもご存知だろう。選手は与えられた献立から栄養素を体内で処理し肉体や技術力の発展を図る。一方で、ダルビッシュ有さんは栄養学や肉体学など食事面から身体にまつわる組織など、広範に知識を入れることを前提に野球脳が形成されている。土台がいくつも並列され積み上げられる知、まさに知識集約型の野球人である。話が脱線したが、要するに、仕事、睡眠、肉体などの質をあげるには食事から変えなければならない

セロトニンの95%が消化管に存在し、生成が睡眠に欠かせないことは以前説明した。生成されたセロトニンが体内で分泌されると腸内の動きが活発になる。また、セロトニンは快眠ホルモンであるメラトニンの原料であるためセロトニンの生成は日々必要だ。

では、何を食べれば脳や身体をつくる栄養素を吸収できるのか。以下に続く。

ぐっすり眠れる最強の栄養素

f:id:inuwanhime:20201212150013j:plain

Photo by Josh Millgate on Unsplash

そもそも何を食べればぐっすり寝られるのか気になるところ。好きなものを好きな量だけでは済まない。健康を害してしまう可能性がある。快眠に働く栄養素の観点で食品をお伝えする。

レニウム(セレン)

ナッツ・牛肉・鶏肉・牡蠣・ブラウンマッシュルーム・ヒマワリの種でセレニウムを摂取する。免疫力の向上が期待できる。体調を崩しやすい身体から健康体を目指す。コロナ感染者の増加報道で過剰に感染対策をし、疲労が蓄積しやすくなる。セレニウムで内側から元気になろう。

ビタミンC

カムカム・アムラ・アセロラ・ピーマン・葉野菜・キウイ・イチゴ・柑橘類・パパイヤからビタミンCを補給する。

PLOS(論文の無料アクセス化を推進するプロジェクト)に発表された研究によると、ビタミンCの血中レベルが低い人は、よく眠れず夜中に目が覚めやすいという。

柑橘類も含まれているため冬の寒い季節には袋入りのミカンを定期的に、こたつで食べる習慣を取り入れるといいのではないか。カバンに携帯したみかんを出先でつまむなど心身をリフレッシュしよう。

トリプトファン

ターキー・鶏肉・卵・サツマイモ・チアシード・アーモンド・ヨーグルト・葉野菜など。トリプトファンセロトニンが生成される前の段階だ。鶏肉はたくさんの栄養素の一覧に登場する。調理法も多様で部位ごとに食感が違う美味しい万能食だ。セレニウムトリプトファン、そしてタンパク質が豊富。牛肉や豚肉より廉価に買える。クリスマス当日に雰囲気づくりと身体づくりを叶える七面鳥なんかもいい。

カリウム(ポタシウム)

葉野菜・ブロッコリー・アボカド・ブラウンマッシュルーム・芋類・ダルス(ミネラル豊富な海藻)・ワカモレから摂取。

アメリカ睡眠医学会が刊行する『スリープ』誌に、眠りが浅いという問題にはカリウムが効果的だという研究が発表された。

バナナもカリウムが含まれるが、糖分の過剰摂取の懸念を考えカリウムの食材にあげなかった。

カルシウム

ケール・コラードグリーン・マスタードグリーン・イワシ・海藻・ゴマなどに多く含まれる。

医療雑誌『ヨーロピアン・ニューロロジー』に、レム睡眠の乱れはカルシウム不足が関係しているという研究結果が掲載されていた。

睡眠サイクルを正常に機能させるにはカルシウム補給から!

ビタミンD

メカジキ・サケ・マグロ・サバ・しいたけ・牡蠣などに含まれる。

学術誌『クリニカル・スリープ・メディスン』によると、日中に強い眠気を感じることとビタミンDの不足に強い相関関係があるという。

日中の眠気対策に肝心なビタミンDを増やす方法は食事よりも太陽光に当たることが最善で手っ取り早い!

オメガ3脂肪酸

クルミ・サケ・チアシード・カボチャの種・ヘンプシード(麻の実)・オヒョウ・亜麻仁に多く含まれる。

オックスフォード大学で実施された調査によると、オメガ3脂肪酸にはぐっすりと深く眠れる効果が見受けられるという。

オメガ3脂肪酸は熱に弱く、加熱すると成分が損なわれるため調理が非加熱になる工夫を。サラダに砕いたクルミを加え亜麻仁オイルをかけるなどヘルシー料理も作れる。

メラトニン生成

パイナップル・トマト・バナナ・オレンジなど。少量から多量まで食品によってメラトニンの含有量が変わる。なかでもメラトニンの含有量はタートチェリーが断トツ

ビタミンB6

カシューナッツ・ピーナッツバター・バナナ・ ヨーグルト(糖分を含まない)・カシューナッツ・アーモンド・アボカド・魚・トマト・ほうれん草・サツマイモ・海藻・卵でビタミンB6を摂取。

ビタミンB6はストレス反応を緩和し、神経系にリラックス効果を与える。

腸内フローラを調整

キムチ・ピクルス・ザワークラウト・味噌・ヨーグルト(乳成分の有無を問わない)・ケフィア紅茶キノコなど。発酵食品や発酵飲料で腸内フローラのバランスを改善する微生物を活性化させる。その微生物をプロバイオティクスと呼ぶ。

善玉菌の成長

ニンニク(生)・タマネギ・キクイモ・タンポポの葉・アスパラガスなど。

日和見菌ではなく善玉菌の成長を促すには、プレバイオティクスが含まれる食品を賢くとりいれるとよい。プレバイオティクスは、体内にいるプロバイオティクスの成長や活動を助けようとする物質のことだ。

マグネシウム不足

栄養素の中でもっとも不足している物質がマグネシウムだと本書では強く論じている。

マグネシウムは抗ストレス作用のあるミネラルだと言われている。血糖値を整え、血流と血圧を最適な状態に保ち、筋肉の緊張をほぐし、身体の痛みを和らげ、神経の高ぶりを鎮めくれる。しかし、たくさんの機能があるゆえに不足してしまう。

と述べている。つまり、食品による摂取では十分なマグネシウムの栄養素を獲得できず、補給の仕方にも注意が必要みたいだ。どうやらマグネシウムは口からの摂取ではなく、皮膚に塗ることでマグネシウムの吸収を提案している。スプレータイプのマグネシウムを痛みの感じる患部、首や肩、心臓にスプレーするように促している。経皮的にマグネシウムを補給することが嫌な人向けに食品でもアプローチする。

マグネシウム

葉野菜・ゴマ・カボチャの種・スピルリナ・ブラジルナッツなど。食品から栄養素の補給をしても睡眠の質や体調の改善が思わしくない場合にスプレータイプのマグネシウム補給にステップアップすると良いのではないか。

最後に

ジャンクフードを食べ続けることと健康的にバランスの取れた食事とでは体内で発生する結果がまったく変わる。肥満、高血圧、糖尿病など健康リスクが上昇し睡眠の質があがることは望めない。何を食べてどんな結果を呼ぶのか、まさにプログラミングのようなもの。入力内容が正しければ、出力は思うように働き正確な実行結果を返してくれる。【食事×睡眠】は頷く結果と言えた。いちいち栄養素の名称を覚えなくても自分が健康な食事を摂取しているかはひと目でわかる。食べすぎず空腹を凌ぎながら軽食にナッツを取るなど1日3食に縛らなくていい。1食でも極端に5食でもバランス維持と量調節で睡眠の質は改善される。食べたくなる欲求と上手く付き合いながらメリハリをつけ、食生活を楽しみつつ睡眠の質があがれば一石二鳥。皆さんの睡眠の質が少しでも改善されれば嬉しい。

参考書籍