本嫌いから好きになるきっかけをもらった作品が東野圭吾さんの推理小説(放課後)で、何作品も貴重に本棚に保管しています。読書嫌いから好きに変化して以降は小説が常に読める状態が維持された環境じゃないと不安にまでなるようになったのは非常に良い傾向です。 本日は以前からお伝えしている小説の紹介で、文庫本が出版されたのでその一冊のご紹介です。
東野圭吾著の「恋のゴンドラ」についてです。
独身最後のアバンチュールはしたいか?
(恋人同士が目指す先は明確化されたし?)
都内で働く広太と彼女の美雪。
広太が独身最後のアバンチュール先に選んだゲレンデで修羅場に出くわす物語。
付き合って何年とかいう物理的な時限が結婚に直結するとは考えないが、流石に同棲生活をする関係性だと「結婚」という言葉が浮かび上がるのはあって然るべきだと思う。
結婚とは「家族になりたい」という意思表示であり一生を共に添い遂げる決意があるから発言できる言葉で、付き合いとは比べものにならない責任がのしかかっている。
だから同棲は軽々しくするものでもないし、お互いの意思確認があって一緒に居住するのがしっくりくる。
だが、美雪から性活において一つ提言があった。
「コンドームの使用は控えても良いんじゃないか」と。
これは妊娠・出産が念頭にある発言で、それに二つ返事できない広太の心境が彼氏彼女の関係性を壊したくないというもの。
別れたくない広太は美雪の策略に肯定する形で結婚という最終的な解答にYes返事しかできなかった。
それを手に入れたら女性は手が早い。
段取りを全て美雪が取り持って広太に予定を伝えることになる。
この段階でアバンチュールなど頭の片隅にも入らないはずなのにゲレンデで浮き世を夢見る。
「一度きり、これっきり、たった一回だけ」
それが地雷踏み。
合コンで知り合う女性、桃実と肉体関係を目的に選んだスノボ旅行先で美雪と鉢合わせするシーンが序盤で鮮明になる。
いきなり「もう浮気の修羅場があって物語がどのように進むんだろう」と初っ端から疑問が湧いた。
「三角関係をめぐるストーリー?」と考えて読んでいくと、別グループのスノボ旅行に展開したので様々に織りなす話なんだと期待を持っていた。
目次を見ると、[ゴンドラ-リフト-プロポーズ大作戦-ゲレコン-スキー一家-プロポーズ大作戦 リベンジ-ニアミス-ゴンドラ リプレイ]となっている。
読んでみて思ったのは、広太のだらしなが滲み出ている。
ネタバレになるので包み隠すがゴンドラのシーンからは目が離せない。
ただ一つ言えること、ゴンドラ リプレイの広太の方が腹黒さが存分に表現されている。
初章と終章は瞬き禁止レベル。
どちらも浮き立つ広太の心情に触れることが出来る。
人間が追い詰められた時と羽根を伸ばす時の感情から処理される言葉を客観的に覗くとあなたたちの脳内には驚愕という文字が出力されるはずだ。
購入当初は恋のゴンドラだけに、ゴンドラで恋が発展する明るい清潔な話かと期待していた。
すると、オフホワイトな下心を持つ男がホワイトな女心を弄ぼうとする前段階だったとは驚いた。
本書の表紙だけ見ると華麗な花を用いて冬場のゴンドラに花を持たせているのがわかるのにページをめくれば、似つかない色の物語が展開していく。
タイトルから読者を魅了する小説ですが、実話にありそうな内容なので実際に伝聞で纏め上げた作品なんじゃないかと、もしくは実体験を元に書かれたのかと疑っております。笑
ビジネス書や新聞に比重を占める読書ですが、小説も頻繁に読まないと想像力が掻き立てられないので、今回は東野圭吾さんの「恋のゴンドラ」で貴重な時間を持てました。
皆さんは誰に感情移入するでしょうか。
私は桃実でした。
これは浮気決裂宣言とでも言えるでしょう。
*次回は英語関係の内容にしようと考えていますので、資料を集めに奔走し面白い記事となるように頑張りますのでお楽しみに*
本日はここまで。
次回の更新でお会いしましょう!
さよなら〜